外出している時に、オフィスにかかってきた自分宛ての電話を外出先で受けて応対したり、テレワーク中の自宅で応対したりといったように、主に仕事のシーンで使わることが多い「転送電話」。
この記事では、転送電話について種類や利用方法、メリット・デメリットなどについて詳しく解説した上で、転送電話のデメリットを回避してメリットだけを享受する方法をご紹介します。
転送電話とは?
転送電話とは、かかってきた電話を別の電話に転送する機能やサービスのことを指します。
- 無条件転送:あらかじめ登録した電話番号に転送する
- 保留転送:通話を保留してダイヤルした先へ転送する
- 無応答転送:指定時間内に応答しない場合に転送する
- 時間帯別転送:時間帯によって登録された着信先へ転送する
など、転送する時の条件や操作方法などによっていくつかの種類があります。
転送電話の種類と利用方法
転送は「外線転送」と「内線転送」に分けられます。
外線転送とは、ある電話の着信を他の電話回線へと転送することです。一方、内線転送とは、ある電話の着信を社内の別の電話機へと転送することを指します。(最近では、社外にある電話機に対しても、内線と同じように転送できる機能やサービスもありますので、この区別の仕方は厳密ではなくなりつつあります。)
一般的には、「転送電話」という時は「外線転送」のことを指すことが多いでしょう。転送電話を利用する方法としては、大きく、
- 端末自体で設定する
- 通信キャリアの転送サービスを利用する
- PBXで設定する
の3つがあります。ここからは、それぞれについて見ていきましょう。
①電話端末で設定する
一つ目は、オフィスに設置している固定電話(ビジネスフォン)や、スマートフォンの端末で転送電話の設定をするという方法です。自動で電話を転送したり、手動で転送したりする方法があります。
転送機能は端末の標準機能として搭載されており(端末によっては利用でできないものもあります)、月額利用料金などが別途かかることはありません。
操作方法は端末によって異なりますが、電話端末で電話を受けた後に保留にし、保留中に手動で転送したい電話の番号をダイヤルして転送する手動式の方法が一般的です。
固定電話、スマートフォンのいづれからの転送であっても、転送元(契約者)から転送先までの転送通話料金が発生します。
②通信会社の転送電話サービスを利用する
二つ目は、利用中の通信会社の転送電話サービスを利用する方法です。
通信各社は、固定電話からの転送電話サービスをオプションとして提供しています。通信会社によって転送サービスの名称は異なり、NTT東西は「ボイスワープ」、KDDIは「着信転送サービス」、ソフトバンクは「多機能転送サービス」となっています。
原則として利用には申し込みが必要となっており、オプション料金が発生します。
スマートフォンの場合は、NTTドコモでは転送電話サービスを利用するための申し込みが必要となっていますが、au、ソフトバンクでは必要ありません。また、NTTドコモ、au、Softbankの3社ともオプション料金は無料となっています。
固定電話、スマートフォンのいづれからの転送であっても、転送元(契約者)から転送先までの転送通話料金が発生します。
③PBX(構内交換機)で設定する
三つ目は、PBX(Private Branch eXchange)の転送機能を利用する方法です。
PBXには、自社のオフィスに設置する「オンプレミスPBX」と、クラウドベンダーが提供するPBX機能をネットワーク経由で利用する「クラウドPBX」の2種類が存在します。
転送先を複数設定できたり、平日・休日で転送先を分けることができたりするなど、端末自体に設定する方法よりも高度な設定が可能になります。
PBXで電話転送を利用する場合、掛かってきた外線電話を内線電話に切り替えて電話をつなぎます。
PBXに接続する電話同士の内線電話は通話料が無料となるため、電話端末で設定したり、通信会社の転送サービスを利用する際に発生する転送区間の通話料金が発生しません。
転送電話のメリット・デメリット
オフィスの固定電話にかかってきた電話を、外出先やテレワーク中の自宅へ転送することで以下のようなメリットがあります。
- 折り返しに関わる手間を省き、迅速に電話対応できる
- 通信費用を削減できる
- どこにいても電話を受けることができる
オフィスにかかってきた電話を転送することで迅速な対応が可能になります。相手を待たせることもなくなり、折り返し手配のためにスタッフの手を煩わせることもなくなります。また、伝達ミスがなくなるという効果もあります。
また、担当者が不在の度に折り返しの連絡をしていると、その通話料金で通信費が増加してしまいますので、担当者への転送は通信費の削減にもつながります。
最後に、転送をスマートフォンで対応できれば、どこにいても電話を受けられるようになります。外回りの多い営業担当や、テレワーク中のスタッフへの取り次ぎも容易になります。
一方で、転送電話には以下のようなデメリットも存在します。
- 転送先で対応できなかった場合、不都合が生じる
- 転送先は1つの番号につき1つしか選べない
- コストがかかる
電話を転送された担当者が移動中や打ち合わせ等で対応できない時、無条件転送にしていると、不在(留守)扱いとなってしまいます。その後、折り返しする際に、転送着信では元々の発信者の番号が通知されないこともあるため、連絡ができなくなるという場合も起こりえます。
通信会社が提供している自動転送サービスの場合、転送先の番号は1つとなっています。そのため、転送先の担当者がすべての転送電話に対応しなければならないため、負担が集中してしまうことになります。
通信会社が提供している転送サービスや、電話機の外線転送では、転送元から転送先への通話料が発生します。会社にある固定電話から担当者のスマートフォンに転送した場合、固定電話からスマートフォンへの通話料金は割高になってしまいます。
転送電話のメリットだけを享受する方法
転送電話のデメリットを回避しつつ、メリットだけを享受するためには、PBX(構内交換機)で設定するという方法が挙げられます。
PBXには転送機能の種類がたくさんあります。例えば、転送先の担当者が対応できなかった場合でも、設定した呼び出し音の回数内に応答がない場合に、あらかじめ指定した別の電話機に転送するという「応答遅延転送」機能を使うことで不都合を回避できます。
PBXを用いて本社と支店との間の拠点間接続をすれば、遠隔地であっても内線化することができます。その場合は、外線を利用しないため、通話料金が発生しません。それによって通話コストを削減することができます。
また、PBXによっては、オフィス内にある電話機間の内線通話も可能となるだけでなく、社員のスマートフォンとの通話を内線化できるものもあります。
まとめ「転送電話とは?」
転送電話とは、かかってきた電話を別の電話に転送する機能やサービスのことを指します。顧客満足度の向上や、従業員の生産性の向上、働き方改革といった点で欠かせないものとなっています。
転送電話を利用する方法としては、①端末自体で設定する、②通信キャリアの転送サービスを利用する、③PBXで設定するといった3つの方法がありますが、転送電話のメリット享受しつつ、デメリットを回避するためには、③PBXで設定する、が望ましいでしょう。
PBXには、自社のオフィスに設置する「オンプレミスPBX」と、クラウドベンダーが提供するPBX機能をネットワーク経由で利用する「クラウドPBX」の2種類が存在し、それぞれに長所、短所があります。
当社(まほろば工房)は、ネットワーク構築の専門知識と経験を豊富に有しており、国内大手通信機器メーカー以外ではほとんど製造されていないPBXを開発しているメーカーであり、オンプレミスPBXと、クラウドPBXの双方に対応できる数の限られたベンダーです。
貴社にとって最適な電話システム構築の相談に乗ることができますので、お気軽にご連絡ください。